| 楽園に暮らす 冬ごもり 45.本物の楽園 2003・12・13 |
| 本物の楽園 12月13日は『事始め(ことはじめ)』といって、正月の 準備を始める日にあたります。 冬のご挨拶である『御歳暮』も今日から贈りはじめますが、 僕のところは虚礼廃止の観点から中止しています。 13日はまた、『煤払いの日』でもあります。 囲炉裏はないので煤はたまりませんが、それ以上にここでは 蜘蛛の巣があります。それだけ虫が多いので「蜘蛛様々」な わけですが、今日は取らないわけには行きません。 神棚と仏壇の掃除が続きます。永平寺の修行のごとく、 『作業は動く座禅である。』と考え、ただひたすらに動き回る ことに没頭し、煩悩や迷いを打ち砕くのでございます。 作業が終わると、いつものようにイスにすわります。 暮れてゆく空は幕を下ろし、またたくまに家の明かりが 浮かび上がります。「この明かりの1つ1つに営みが あるのだな。」なんて感傷に浸る間もなく、 月が上がり、引きずられるように星々が登場します。 煩悩のなくなったはずの”空っぽの脳膜”に過去の 思い出が映し出されました。それは星の観察会でした。 夜の8時になるとライトダウンがおこなわれ、一斉に照明が 消されます。ここで、「おー」という歓声が上がります。 その効果あって、星座が近づいてきたかのようにはっきり 見えてきます。さらに大きな歓声が沸き起こりました。 僕も実際「おー」と声をあげてしまいました。観察会用の ペンライトが一瞬にして天空を立ち上り、細い光の柱が星々を 指し示すのです。こうして星座の説明が始まりました。 夏の大三角形から秋の四角形が示され、白鳥座そして アンドロメダ星雲へと導かれ、またカシオペア座から北極星を 探します。大接近した火星も天体望遠鏡で見せてくれました。 そして、このイベントの最大の楽しみは賢治の”銀河鉄道”が 実際に見れることなのです。8時37分それはやってきました。 光の筋が左から右へと走っていきました。幻想的な光景で あります。帰りには、”おみやげ”までもらいました。(写真1) ”空っぽの脳膜”にも冬の寒風が入り込むと、 思い出の映像もぷつんと切れて、ガタガタと震える音だけが 聞こえたのが最後でした。目の前にあるのは楽園の 現実なのか、夢なのか、分からなくなりました。 ドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワ そのとき、発車塔のランプが点燈しました。 とにかく急がないと発車してしまいます。銀河鉄道が終点の ”本当の楽園”に向けて出発するところなのです。(写真2) 僕たちは走り始めました。足がちぎれんばかりに走って、・・・ ・・・・・僕は座席に座っていました。 妻はどうやら今回は乗り遅れたようです。 列車は斜めにゆっくりと動き出しました。やっぱり、一人は 淋しいです。窓の景色もただ淋しいだけです。北斗七星が 一瞬見えて、また元の寂しい暗闇に戻りました。(写真3) 天の川ステーションにつきました。まばゆいばかりに 明るいのに僕の心は沈んでいました。 「なんで一人で乗ってしまったんだろう。僕は乗るべきでは なかったんだ。」僕は何かに夢中になるとほかのことが 見えなくなる自分を後悔していました。 冬の星座を代表するオリオン座が見えてきたところで、 どこかの駅に止まりました。(写真4) 少年が一人乗り込んできて、いきなり僕に尋ねました。 「君はどこまで行くんだい。」 「終点さ。終点の”本当の楽園”さ。」僕は答えました。 「”本当の楽園”?終点は”宇宙の果て”だぜ。」・・・ 少年は続けました。「”本当の楽園”ってなんだい。」 「”本物の楽園”さ。」 「”本物の楽園”っていったいなんだい。」 「だから、”本当の本物の楽園”さ。」 「・・・」少年はまたいきなり、ふっといなくなりました。 僕は又一人ぼっちになりました。 「もしかして、列車を間違えたのかな。ほんとうに ”宇宙の果て”まで行ってしまうのかな。」窓の外は まったくの漆黒の世界がどこまでも続いていました。 「妻は今ごろどうしているかな。」それが最後の独り言 でした。やがて深い眠りに入っていきました。 そして翌朝目が覚めると終点に着いていました。 しかし、そこは”いつもの楽園”でした。(写真5) ドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワドウワ 僕は数日来の作業で出た枝木や切り株を集めて 燃やしています。それが終わったら庭の掃き掃除です。 妻はすでに自己の世界に入り、一球ごとに種類の違う スイセンを植えています。別々の作業をしながら、一緒の、 同じ一日をいつものように過ごすのです。 さあ、今日も一日、『大掃除』、頑張るぞ! ”本物の楽園”を目指して! |
アンドロメダ星雲と銀河鉄道と記念バッジ 我が楽園から見える本当の景色です。 これを手がかりによく北極星を探しました。 間違えなく分かる星座の1つ。 でも、いつか”本物の楽園”に |
| 今回、初めて写真機で冬の星座に挑戦してみました。しかし、星の撮影は大変です。 一つは、寒いこと。勿論、手動ですので、じっとシャッターを押したまま微動だにしないで3分間待つのです。 これでカップラーメンとなればいいのですが、この作業を5〜6回繰り返して、体の芯まで冷えていくのです。 もう一つは、月の出を考慮しなかったこと。明るすぎて、いつもは肉眼で見える銀河が見えないのです。 苦労の割には、さびしい写真となりました。おかげで次の日は風邪で一日作業をサボりました。 H15・12・10 |
| 予定では、残すところ3回で、『楽園に暮らす』は丸1年をむかえます。 もしできましたら、皆さんそれぞれの印象に残る、ベスト3をメールでお知らせくださるとありがたいです。(無記名可) 今後の参考にしたいと思いますので、御忙しい時期とは思いますが、よろしく、お願いいたします。 H15・12・13 |
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「楽園に暮らす」 木の実クラブ http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000103312 (又はhttp://konomiclub.hp.infoseek.co.jp/back.htm) http://www.mag2.com/m/0000103312.htm http://www.ne.jp/asahi/konomi/club/ |