楽園に暮らす     葡萄稔る     51.夷講          2003・10・20    
  夷講(えびすこう)  
 十月といえば、神無月といって、全国の神様が出雲に
集まり、男女の結びをはじめとする、人間の運命を
あらかじめ決定するのだそうです。このとき、留守を
守る恵比寿様を祭る行事が夷講なのです。
ですが、実は、僕も今回初めて知ったのです。
 恵比寿様は、もともと漁神でしたが、商売の神をへて
七福神に入り、幸せを招く神とされています。ですから
商家では、この日は床の間に恵比寿の「掛け軸」をかけ、
小豆ご飯・尾頭付き鯛・御神酒(おみき)・鏡餅などを
供えて、親類縁者を招いて酒宴を開いたそうです。
このため、江戸では、前日に夷講に供えるものを売る
市がたったということです。しかし今では、浅漬け大根を
売る”べったら市”に変わり、夷講自体も、
”秋の安売りセール”がその名残を伝えているだけです。

 ただ、この行事の中で面白いのは、”恵比寿講の
もうけばなし
”というものです。ありふれた小鉢や小皿に
千両・万両の売り値をつけて、縁起を担いで景気よく
売買のまねごとをし、商売の繁盛を願うというものです。
 また、ある神社では、”えびす銭”というのがあって、
これを財布に入れたら、お金が溜まるそうで、
本当に儲かったら、来年倍返しに来なければいけない
というのです。

 さて、今日の夷講では、商売に関係のない僕等は、
何をして過ごそうか。とりあえず、砂で書いた『幸福]』の
掛け軸とドングリ七福神を飾り(写真1)、
川原で拾った石に、ストーンアートで”恵比寿さま”に
なってもらいました。(写真2)
 そうして、僕はかく考えたのであります。
どうしても生きている限り、我々は、生きる意味を求め
がちです。求めては幻に落胆したり、求めては
自己満足の域を出ていないことに苦しみます。
ですが、だんだん余計なものを省いていくと、
生きていること自体が意味あることになってくるのだ
と思うのです。
「朝起きてご飯を食べ、夜になったら眠る。」という
単純な繰り返しだけで実は生きている意味があると
僕は思うのです。その他に何かできたら、それは
”儲け”、満足できれば”大儲け”ということなのです。
そして、大いに儲け、大いに感謝したらいいのです。
かく考えて、僕は楽になれたような気がするのです。
 ということで、今日は”人生講のしあわせばなし
ということにして、”えびす銭”ならぬ”えびせん”でも
頬張りながら、ありふれた日常の出来事を大いに
楽しく語り、それができたことを大いに深く感謝し、
『人生の幸福』を”幸いを招く恵比寿さま”に大いに
願おうということにしたのです。
    ---わんやわんやと言い出しました---
 「ちょっと腰を使い過ぎたがイスとテーブルができた。
K爺ちゃんが来たら、腰掛けて貰おうと思ってね。
作業後には、ここでハーブティーでも飲みながら、
ペケペケヶ岳を眺めて過ごそう。」 (写真3)
「よかったね。」 「ありがとう。」
 「やり直しを二度もしたけど、リバーシブルの
チョッキがやっと仕上がったのよ。」
「よかったね。」 「ありがとう。」
 「カルチャーがね、朝、『ゴハン』って確かに
言ったのよ。今度『オミズ』を教えようかしら。」
「よかったね。」 「ありがとう。」
 「大変だったけど、二度目の草を燃やして灰を作った。
この灰をばら撒いて、ここに果樹を植えるんだ。
鶏糞もたんと入れたし。」(写真4)
「よかったね。」 「ありがとう。」
  「今夜は何て星がきれいなの。あれ、もしかして
天の川?初めてみたような気がする。」
「よかったね。」 「ありがとう。」
 「でも、結構幸せな生活送ってるじゃん。」
「よかったね。」 「ありがとう。」
 ---わんやわんやと調子に乗り過ぎましたかね。---

 夕飯は、新米でのビーフカレー。福神漬けの代わりに
ベッタラ漬け・茗荷の酢漬け・エビスカボチャの漬物。
煮物・サラダ・果物、エビスビールもつけちゃいましょう。
人生に彩りを添える小さな幸せの願いが叶うように、
スプーンは叶結びとしました。(写真5)
(写1) 砂の掛け軸とドングリ七福神

(写2) ストーンアートの恵比寿さま

(写3) 作業後はここで一服

(写4) 果樹の肥料となるか

(写5) エビスカレー
  10月15日〜25日は伊勢神宮の神嘗祭(かんなめさい)である。今年の新米を神に捧げる日である。
 約1ヵ月後の11月23日に
新嘗祭(しんなめさい)があり、
天皇以下国民が、神と共に新米を食して
 祝うのである。ところが、新嘗祭を待たずに、今は新米がすでに市中に出回っていて、
 年のせいか、いち早く食べたいと思ったのである。しかも、恵比寿講、ベッタラ市から福神漬け、
 そしてカレーと連想したわけである。
                                   H15・10・20
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