楽園に暮らす     水無月     ・憎まれっ子       2008・06・19    


  憎まれっ子


 このところ、僕は楽園をただボヤーっと眺めることが多くなった。
ボーっとしていると見えてくるものがあるというけれど、ホンワリと嬉しくなるもの、フワーっと癒されるものがある一方で、なんとなくジワッーと憎々しくなってくるものもあるのだ。
その1つが、いわゆるキイチゴの一種、クマイチゴである。
タンポポ・スギナと並んで、僕は"憎まれっ子3兄弟"と呼んでいる。(写真1)


 最初に見たのは花だった。一片一片はまるで薄い山桜のような、こわれやすい繊細な花だった。僕はもうそれだけで一目惚れだ。(写真2)
それに赤橙のイチゴをたわわにつける。口に含むとジューシーで甘い。ジャムにまでして楽しんだ。二度目のフォール・イン・ラブ。
 僕はあちこちに種を蒔いたくらいだ。大げさに言えばこれも人生の過ちだった。もともと鳥たちが撒き散らす上に、サルが楽園各地に種だらけのウンチをしていく。さらに、ひこばえで四方八方に芽を出す。こうしてクマイチゴの侵略が始まり、庭にも果樹園にも容赦なく侵入してきた。
いつしか気がついてみると彼らの群生地になった。(写真3)
まさに、『憎まれっ子世にはばかる。』である。


 これはいかん。僕は急転換して見つければ抜くようにした。しかし、これは人丈ぐらいにまで大きくなる。するともう刺が痛くてどうにも太刀打ちできなくなる。道であれば先に進むことが出来ない。お手上げである。今ではもう抜かずに、ただ刈り込みバサミで切るだけだ。(写真4)
つまり、『蒔いた種は刈らねば成らぬ。』 ということになったのである。


 6月に入って、刈り残した株に、これ見よがしに実をつけた。(写真5)
美しい? 冗談じゃあないよ!いまや、憎々しいを超えた。ジワッーと怒りすら覚える。
これが、僕個人の恣意的な、だが素直な感想である。

 しかし、自然からいえば、この僕こそが憎むべき存在なのだろうか。神は、この憎まれっ子を蘇生させては次々と送り込んでくる。僕が刈ることさえ諦めるのを待っているのだろう。

(写1) 上:タンポポ、下:スギナ

(写2) 清楚な花

(写3) 群生

(写4) 今年二度目の刈り取り

(写5) 赤い実の美しき哉


      あとがき
   と、嘆きながらも、草取りの合間の水分補給に
 ずいぶんといただきました。
                                 H20・06・19

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木の実クラブ


 タイトル       「楽園に暮らす」
 発行者
        木の実クラブ
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 ホームページ    http://www.geocities.jp/konomiclublog/
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